フッキングとは魚の口に針を掛け、貫通させることです。
置竿にしていた仕掛けに魚が掛かっていたというのもそれはそれで嬉しいものですが、神経を研ぎ澄ませて一瞬のタイミングを逃さずに合わせを入れてフッキングした時、それは「釣れた」ではなく「釣った」という感情になります。
この「釣った」が釣りの妙味であり、多くのアングラーが釣りの虜になる要素でもあります。
この記事ではフッキングの方法を紹介するとともに、フッキングのコツを解説します。フッキングが上手くキマらず悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
- 様々なフッキング方法を知りたい人
- フッキングの技術を高めたい人
- 釣果を向上させたい人
1.フッキングの仕組み
魚に針を飲み込まれてしまって外すのに苦労した方も多いでしょう。
一方、ほとんどの場合は魚の口の先端部分に刺さっていて簡単に針を外すことができます。
これはなぜでしょうか?
フッキングのメカニズムは様々ありますが、代表的なパターンは魚の口の中でフックが滑って柔らかい場所に刺さるパターンです。
次の絵を見てみましょう。
①の状態が魚がルアーや仕掛けをバイトした瞬間です。この状態でアングラーの手元にバイトの感触が伝わり、アングラーは合わせを入れます。
魚の口の中は思った以上に硬いため、合わせを入れるとフックは②のように魚の口の中を滑ります。
滑った先にあるのが比較的柔らかい魚の唇に当たる部分で、③の場所でフックが刺さります。
これがフッキングの仕組みです。
2.覚えておきたい!フッキング5パターン
フッキングには魚種やタックルの違いによって使い分けるべき5パターンがあります。
向こう合わせ
ルアーを巻いている最中にいきなりロッドに重みが加わるフッキングです。魚がルアーを咥えた状態でアングラーとは逆向きに反転することでフッキングに至ります。
このフッキングの場合、食い込みが甘い場合がありますので、追い合わせを入れることが望ましいでしょう。
巻き合わせ
ロッドをあおるのではなく、リールを巻きとる力で魚の口に掛ける方法です。このフッキング方法では刺さりが甘くなることが多く、口が硬い魚には向いておりません。
竿先を絞り込むようなバイトやリトリーブスピードが遅い釣りで使用するようにしましょう。
スィープなフッキング
こちらはバスフィッシングで多用される方法です。竿をあおるのではなく、ゆっくりと大きく体を回すようにしてロッドの張り、体を回すトルクで合わせます。
急激に合わせるフッキングではないため、合わせた際のラインブレイクの確率が低いため初心者の方にもおすすめです。
電撃フッキング
いわゆる「即合わせ」と呼ばれるフッキング方法です。アタリに対して素早くロッドをあおることで針を貫通させます。
ガツンと手応えのあるような、リールを巻く手が一瞬止まるような強烈なバイトをしてくる魚に有効です。
聞き合わせ
仕掛けに何か触っていうような違和感を感じたら軽くロッドを立ててアタリを「聞いてみる」のが聞き合わせです。
ライトゲームや餌釣りなどで多用される合わせ方です。この合わせ方は針の刺さりが甘くなりがちですので、大物が掛かった手応えを感じた場合は追い合わせを入れるのがおすすめです。
3.フッキングのコツ5選
フッキングの成功率をより一層上げるため、フッキングにおけるコツ5選を紹介します。
1.追い合わせ
追い合わせは最初の合わせの後に2、3回追加の合わせを入れて針を貫通させる合わせ方です。
この合わせを入れることで太軸のフックを使用している場合や魚の口が硬い場合に効果を発揮します。なお、口の浅い場所や薄い場所に掛かっていた時、追い合わせを入れることで最悪の場合口が切れてしまうこともあります。
ターゲットにしている魚種や針の太さで追い合わせを入れるか判断するようにしましょう。
2.フッキングのタイミングは魚の重みを感じてから
魚が餌を捕食する時、いきなり食いついてくることもあれば口先だけで突いてくる場合、尻尾でアタックして魚を弱らせる場合があります。
このため、手元にアタリを感じたからといってすぐに合わせを入れてしまうとフッキングに失敗することがあります。
魚の重みをしっかりと感じてから合わせるようにしましょう。
3.合わせの時は姿勢を正しく
体を反ってのけぞった状態で合わせを入れてもラインに力が伝わらず穂先だけが曲がった状態になります。これではルアーまでしっかりとパワーが伝わりません。一瞬のチャンスを逃さないため、普段から正しい姿勢を維持することが重要です。
仮にのけぞったタイミングでアタリがあった場合でも冷静に、ラインを巻き取りつつ体勢を立て直してからフッキングに繋げましょう。
4.合わせの前にラインに「たるみ」があれば巻き取る
ラインに「たるみ」がある状態で合わせようと思っていてもルアーや仕掛けにパワーが伝わりません。仮のこの状態で合わせを入れても、良くてルアーや仕掛けが少し動く程度でしょう。
巻き合わせの要領でラインを巻き取りつつ、合わせを入れましょう。
5.ラインの角度は90°
フッキングの際にはフックまでパワーをロスなく伝えることが重要です。
しなりやすいロッドの穂先ではなく、ロッドの中心付近のバットを使って合わせるようにするとムダなくパワーを伝えることができます。
最もパワーを伝えやすいロッドとラインの角度は90°です。
4.良いフッキングは適切な道具選びから
良いフッキングのためには道具選びも大切です。上手いフッキングには欠かせない、道具選びの3ヶ条をご紹介します。
1.タックルバランス
タックルバランスは釣りの全てにおいて重要です。
特にフッキングにおけるタックルバランスとは、ラインとフックの強度を指します。このバランスが均衡することで初めて釣具のポテンシャルが発揮されます。
ありがちな間違いとして、ロッドとラインが細いのにフックが太いというセッティングです。
この状態ではライン強度が弱いため、十分なパワーをフックに伝えられずフックを貫通させることができません。
2.ルアーの浮力
意外と見落としてしまいがちなのがルアーの浮力です。
トップウォーターのルアーのテールが水面付近に浮いてしまうと、ミスバイトになる確率が上がります。フックの重量などで調整してルアーのテールは水中に沈み、ルアーの頭は水面から少し出るくらいにしておきましょう。
3.フックの形状・状態
確実なフッキングを決めるためにはフックが重要であることは言うまでもありません。サイズ、太さ、大きさはターゲットにあった商品を選ぶようにしましょう。
また、フックの先端が丸い状態では魚の口に大きな穴を開けてしまうためバラシの原因となります。フックを爪に当てた時に引っ掛かりがあるくらいの鋭さを保つようにしましょう。
5.フッキングの豆知識
フッキングに関係する豆知識を2つご紹介します。
大物は小物に比べて重量があるため、合わせを入れた時のカウンター効果が高くフックがしっかりと刺さり込むため、小物に比べてバレにくい特徴があります。
また、小物の場合は手前まで簡単に寄せることができ、簡単に寄せられた魚は体力が残っているため針から外れようと暴れます。
一方、大物はなかなか寄せられないため手前に寄せた時にはすでに弱っていることが多く、キャッチ手前で大きく暴れることが少なくバレにくい傾向があります。
一般的にシングルフックはトリプルフックよりもフッキングしにくいと言われています。
フックのポイントと魚の口が接触する確率がトリプルフックほど高くないことが理由です。
一方、シングルフックは1本に全ての力がかかりますので口の固い魚でもフックが貫通しやすく、トリプルフックのような「フックが歩く」現象が発生しないため一度刺さってしまえばバラしにくいという利点があります。
6.フッキング。それは魚を「釣った」という感動
精神を研ぎ澄まし「ここだ」というタイミングで合わせを入れて釣り上げた時。その達成感は「ただ魚を釣り上げただけ」とは違い、格別のものです。
それは「魚が釣れた」のではなく「魚を釣った」からです。
その感動を一人でも多くの方に届けたい。
そのような想いで書いたのがこの記事です。
この記事ではフッキングの基本パターンやフッキングのコツをご紹介しました。
一人でも多くの方のフッキング技術が向上し「自らの手で魚を釣り上げた」感動を味わっていただけたら嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考
・ソルトゲームの超実践教本 海のルアー基礎講座 エイムック
・釣れる!海のルアー釣り陸っぱり入門 学研パブリッシング